有限会社パンズ

黒ヒョウ社長のブログ

協力会社を選ぶコツ Part 5 (最終回)

2001-09-22 12:17

これは特に同業の方に胸を手に当てて考えて欲しいことでもありますが、「プロデュース」「コーディネーション」「メッセンジャー」、この3つの言葉の意味を考え直して見たいと思います。特にSPプロダクションに目立つのかもしれませんが名刺に”プロデューサー”と書いてありながら”メッセンジャー”の人をたまに見かけます。


プロデュースの定義は(PANSの場合において)「絶えず新しいサービスやものを生産すること」だと考えています。つまり生産・制作を通じて最終的になんらかの形として評価を得るものをサービスとする場合PRODUCEする、と言えます。モーニング娘をプロデュースする、 XXイベントをプロデュースする、などのように使われますね。 プロデューサーという言葉はテレビや映画でも使われ、というよりその業界での使われ方が多いと思われますが”事業を成功させる最終責任を負う人”でありディレクター=監督とは別人格です。プロデューサーは別の観点から言えば”お金を握り、全スタッフの環境を整え、事業として成功させる人”と言えるかもしれません。 これって会社の社長さんと一緒ですね。 そう、会社の社長さんは自動的にプロデューサーという肩書きになるのでしょう。今の時代、事業を採算に載せることができる人材を必要としていることからプロデューサー制を導入している企業が増えていることも”社内に社長業を増やす”という観点から伺い知れます。
続いてコーディネーション=コーディネーターという人ですが、これは生産・制作を伴わない事・仕事と考えていいんではないでしょうか? いくつかの選択肢の中から最適のものを手配し、提供すること、とでも言えばよいでしょう。”アメリカにいるコーディネーター”、とか ”旅行コーディネーター”などという言葉がピッタリきますがやはりその方面の専門性&経験が必要な職業だというイメージを持ちます。
最後にメッセンジャー。SP方面の仕事に携わり、制作という使命を追った業界において、このメッセンジャーさんは協力会社選択の面から言うと ”失敗”です。営業担当(プロデューサー?)がいてその先に制作担当者(ディレクター・クリエイター)などがいますが、営業担当がプロデューサーと呼んでいい人と、メッセンジャーとしか呼べない人と2種類あることをご存知ですか? 言うまでもなくメッセンジャーとは宅配業者のようにメッセージを届ける人・職業であり、そこにオリジナル性や新しいものを生産する必要性は存在しません。早く、正確に、安全に、安くA地点からB地点へ「物」を伝達、移動させればよいわけです。この「物」を「人」に変えたらどうですか。旅行業になりませんか。つまり前述のコーディネーターとメッセンジャーは案外近いんだな、という理解ができます。すこしおおざっぱで強引な解釈かもしれませんが、言いたいのはSP関連の仕事に関わる業界人はプロデューサーを目指さなければならず、コーディネーターやメッセンジャーであってはならない、ということです。
印刷会社5社から見積もりを取り、最適な会社を紹介する。これはコーディネーターであってプロデュースとは関係ないことですから、本来はクライアント側でもできる仕事です。またグラフィックデザイナーからできあがってきたカンプをそのままチェック・校正をしないでクライアントに提出する。これは単なるメッセンジャーです。 これだったらクライアントが直接グラフィックデザイナーに発注しても同じ事です。つまり企業側にプロデューサー的人材が増えてくる今後において、我々のような立場の人間はいまよりももっと真剣に「お金を頂く価値」を創造しなければならず、かつてのように「知っているだけでお金になる」というやり方は放棄していくべきではないかと思っています。知らない事はクライアント側でネットを使っていくらでも調べることができますし、また知らない事を(無料で)教えてあげることは頻繁に行われているわけですから。こうなってくると協力業者を選ぶ発注者=クライアント側も、そして選ばれる受注者=協力会社も、これまでと違った価値観や観点からパートナーとして仕事をしていくことが可能ですし、それはきっとやりがいのあるおもしろい仕事になっていくでしょう。企業の発注担当者の方々、メッセンジャーと”つまらない仕事”をしていませんか?

pana.jpg