有限会社パンズ

黒ヒョウ社長のブログ

装飾規定におけるディスプレイの限界

2002-06-10 14:17

日本国内の展示会・見本市の場合、装飾規定が緩やかではないために企業の個性を出すとか、インプレッションをディスプレイ面から模索するとかいったような手法には限界を感じざるを得ないと思われます。


1つには高さの制限。モーターショーは各車メーカーが特色を出してディスプレイにもとても幅があるように見えますが、あれは日本国内において例外中の例外です。
通常は消防上の制限で1面が1/2以上オープンでなくてはいけなかったり、裸火は使えなかったり、単独小間ではない場合には1m通路からセットバックしなくてはならなかったりと、デザイナーと装飾業者のやる気を削ぐ規定が多く感じます。裸火がダメ!といってもコンロで火を使ってなにかするというのではなくて例えば「ワイヤーにクリップ式ライトをつける」ということもダメなのです。 ワイヤーに電気が走っているから危ない、という理由なのだと察しますが、やはり日本は役所主導&役所の視点がまだありますから仕方ありません。
アメリカのトレードショーでブースディスプレイの繊細さを見かけたことはあまりありませんが、ヨーロッパはさすが歴史が違います。ヨーロッパの大きなショーの出展企業ブースを見て「日本での展示装飾の限界」を感じたのは1992年頃でした。日本で日頃やっていることがあまりにも非効率でどこか幼稚。そう 感じてディスプレイ業界からは足を洗う決心をしました。
バブル後半の90年前後は晴海会場を中心にイベントコンパニオン的ブームが起こり、ビジネスの場、というよりは華やかなお祭り、の為に各社競って派手な装飾と演出をしていた時でした。ドイツに行くと洗練されたシックなデザイン、それでいて仕事も丁寧な現場を見ると、 会社を辞め、装飾業界から足を洗うことを決心させるに十分な”カルチャーショック”があったことを思い出します。装飾規定だけのことではなく、日本の場合主催者自身が展示会場を持たないためどうしても運営方法そのものが多少複雑になり、仕事が増え、コスト高にならざるを得ない環境にあります。この会場運営自体も民間企業ならば企業努力があってもう少し環境的にも効率のよい施策がなされるのでしょうが、すべてがそうでは ありません。
一歩引いて日本的展示会運営方法の根本を考えるとそれは恐らく「文化の違い」ということに 集約されるのだと思います。ドイツのスーパーで買い物をしたときPlastic bag(ビニール袋)は有料でした。装飾において什器などのシステムを企業マーケティング戦略に基づいてカスタマイズ企画・制作し、3年も5年も使いまわす、という事と同じ意識なのだと思います。
やはり日本ではスクラップ&ビルド。保管する倉庫は高いし、交通費も高い。古い家が壊されコンクリートジャングルになってしまった都会を見てもわかるように戦後高度成長時代を築いた現代日本人は新しい物が好きで飽きっぽい民族になっているのかもしれませんね。
参考:海外出展の手引き
http://www.eventde.com/information/info01.html